精神疾患、障害をお持ちの方の
カウンセリング事例
「自分」がここに
生きているんだと実感がもてて、
とても楽しいです。
統合失調症 Hさんの場合

先生、初めて資格試験にチャレンジしました!!
8月の始めに、毎月通っているHさんから嬉しい報告がありました。
彼は精神疾患にかかっています。
ひどい時には幻聴や幻覚が彼を襲い、時に感情をコントロールできない時もあります。
入退院を繰り返していた時期もありました。
自分はいつも人から嫌われている、何をやっても上手く行かないと思いこみ、
自らから人との距離を置いて、殻に閉じこもる日々が続いていました。
でも、Hさんは安心できる場所があると私のカウンセリングに毎月、足を運んでくれています。そして、「先生が生きている限り、僕はこの病気を受け止め、薬とカウンセリングで乗り越えていきます」と、おしゃってくれています。
ある日のカウンセリングの時、「先生は資格マニアですね」という話しが出て、「何も知らない分野を学ぶことは楽しいことだし、資格を取得すると自分に自信がつきますよ。Hさんも合否など考えないで、好きな分野を学ぶという軽い気持ちで勉強してみたらどうですか?」と何気ないカウンセリングの会話から、彼の勉強が始まりました。
「今まで勉強なんてしてこなかったし、自分は馬鹿だからできないよ・・」と言っていた彼が、カウンセリングの度に、学んだ知識を私に教えてくれるようになりました。
今年の5月には大病を患い大きな手術をしたこともありましたが、術後、経過も良く、7月に試験を受けました。
その時のメールです。
『先生こんにちは、いよいよ明日パーソナルカラーリストの試験です。今まで勉強してきて、どうしても頭に入れることが出来ないことは無理にいれなくても良いんじゃないかなと思うようになりました。今日も勉強はこの辺でやめにして、明日に備えてゆっくりしたほうがいいですね。リラックスして穏やかな気持ちで挑んだほうがいいなって思います。』
そして合格発表の時のメールです。
『こんにちは、「パーソナルカラリスト検定」2級、3級合格しました!しかもA判定でした!』
9月のカウンセリングの時には、合格証書を見せていただき、彼から直筆のコメントをいただいて、一緒に写真撮影をしました。
Hさんのコメント(直筆、下記掲載)

「パーソナルカラリスト検定」の資格が取れた事で、自分の特技を持てました。 勉強をする楽しさ、勉強していると「自分」がここに生きているんだと実感がもてて、とても楽しいです。
芸能人のスタイリストになりたいという夢ももてて、確実に前に進むことが出来ていることが、なにより幸せです。
Hさんと一緒に喜べることが、私も幸せです。
Hさんは精神疾患という病気と向き合いながら、自分探しの旅を今、しています。なかなか理解してもらえない病気ですが、同じように悩みもがいている方が沢山いらっしゃいます。
自分をあきらめないで下さい。そして健常者の皆さん、頑張っている障害をお持ちの方に温かい手を差し伸べていただきたいと思います。
自分のことを理解してくれる
誰かに、話を聴いてもらいたいと、
ずっと願っていました。
統合失調症 Kさんの場合

当所に定期的にお越しになって下さる方の中には障害をお持ちのクライエント様が
いらっしゃいます。
例えば、その病気の一つは統合失調症
(イニシャルや年齢性別等は架空の方としております)の方です。
その方がこの病気を発症したのは小学校のころでした。
人と違う、変わっていると虐められることも沢山ありました。
ご兄弟はそんなクライエント様と距離をおくようになり、クライエント様は
とても悲しい思いをしたようです。
中学から高校までは施設に入りました。その後入退院を繰り返し、社会に出たのは5年程前です。
病院の中でのカウンセリングはその方には合わなかったようで、先生を殴ってしまったこともあったようです。
病気のせいで幻覚や幻聴に悩まされる日々が繰り返されました。
その方は自分のことを理解してくれる誰かに、話を聴いてもらいたいと、ずっと願っていました。
私はこの方(以後「Kさん」といいます)と初めてカウンセリングした時のことをいつも思い出します。下を向いたまま、なかなか話をしてくれなくて、目を合わせようとしてくれませんでした。
しかし、2回、3回とカウンセリングしていく度に、顔の表情が変わり、今では私の目をしっかり見てお話してくれるようになりました。
Kさんはとっても洋服のセンスが良いのです。頭も良くて、本を読むことが好きで、毎回、Kさんの話を聞くのが私も楽しみです。
Kさんから教えてもらうことも沢山あります。
Kさんは障害者に対する世間の認識のなさや冷たさなど、不満を話してくれる時、とても悲しく辛い顔をします。
病気のせいで、人との関わりが恐いときもあり、何気ない健常者の一言で傷つくことが沢山あります。
例えば、Kさんは車に乗ったことが
ありませんでした。
ちょっとだけ冒険をして心を許せそうな相手と遠出をしました。
その時、Kさんはシートベルトの装着ができなかったのです。
その行為はKさんにとって初めての経験だったからです。
その時なにげに言った「なんだ、シートベルトもできないのか?しょうがないな」と子供に話すような見下した言い方をされたKさんは、とても傷つきました。
Kさんにとっては、この社会で過ごし始めたのは、たったの5年です。未知の世界と思えることも沢山あります。
話を聞いて、Kさんの傷ついた心が私にも痛いほど伝わりました。日本はもっと、精神病を患っている人たちに優しい社会を作り上げてほしいと願います。統合失調症とはどういう病気なのか?鬱病とはどんなにつらいのか?精神病とは・・もっともっと社会で取り上げてほしいと願います。

Kさんは二週間に一回、当所にカウンセリングを受けに来ます。
心が折れてしまった時は一週間に一回来ることもあります。彼は病気を受け入れながら、 カウンセリングを上手に取り入れ、自分の感情をコントロールして充実した毎日を送れるように努力しています。
今では怒りの感情を上手にコントロールできるようになったと笑顔で話してくれます。
統合失調症という病気は他の精神病と違い完治することはありません。でも彼は病気をちゃんと受け止め薬とカウンセリングで乗り越えています。
当所では鬱病を克服した人もいらっしゃいます。 現在、鬱病は心の風邪と呼ばれるように、治る病気でもあります。
「私は病気だから」と、諦めないで自分の可能性を信じて、前に進んでいってほしいと心から願います。 そのお手伝いができることに、私は幸せを感じます。