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愛着問題・アダルトチルドレンカウンセリング

愛着問題・アダルトチルドレンカウンセリング

夫婦問題や職場の人間関係、育児等のカウンセリングをしていくなかで、クライエント様から「私は愛着の問題があるかもしれない」「私はアダルトチルドレンかもしれない」との言葉が頻繁に出てくるようになりました。近年では、クライエント様自身がネットで検索をすれば、簡単に心理学にまつわる情報を得ることができるようになりました。そのため、自ら生きづらさの原因を考え追及し、改善を試み始めてくれていることも増え、クライエント様の自立と安定した生活を望むみとして安堵しております。その一方で、たくさんの情報に翻弄され、混乱を招いていないかと危惧するときもあります。

実際、カウンセリングをしていくなかで、成育歴というものは人格の基盤に大変影響があり、重要視する部分です。人間の子どもは成長の過程で、親から躾や教育、愛情、安心に止まらずさまざまなもの受け取り育ちます。子どもの人格形成は家庭の中で築かれていくと言っても過言ではありません。澁井展子先生の著書のなかでも、「乳児期に豊かな愛着関係の中で育った子どもは、言葉をはじめ、共感性や視覚認知、コミュニケーション能力などの人として健全に幸せに生きていくための能力のほとんどを母親との関わりの中で身に付けることができ…」と書かれています。また、「愛された記憶から、自尊心、自己肯定感を持ち、順調に自立することができ…将来、人生で不幸や困難に遭遇しても、自分を励ます「親のまなざし」が内在していることによって、それらを克服し乗り越えていくことができます。とも述べられています。

私のカウンセリング事例からも、親から受け取ったネガティブな感情や要素は、大人になった現在でもトラウマや忘れられない記憶として残っていることが多いです。人は、辛かった思い出や思い出したくない記憶に蓋をしてしまい、無かったものとして乗り越え生きようとする傾向があります。しかし、太刀打ちできない問題にぶつかった時は、どうしようもない不安や焦燥感に襲われ、そこから立ち止まって動けなくなってしまう。何が原因でそのような状態に陥ってしまうのか?それは、本人にも解らないことが多く、何をすれば楽になるのか答えを導くことが出来なくなってしまうのです。

カウンセリングは気づきです。「気づき」の作業は、時に記憶の蓋を無意識にご自身で開けてしまうことになるでしょう。心の奥底に眠っていた悲しみや寂しさ、不安や恐怖、憤りが湧き起こり、それを受け止めることは、辛い苦しい作業になるかもしれません。しかし、それは一生続く訳ではありません。必ず終わりは来ます。そして、向き合った苦しみが過去のものとなった時、再び同じ記憶で傷つくことはなくなっていきます。そのような状態になれるまで、焦らずゆっくりと一緒に回復していけたらと思っております。

クライエント様と共通の認識として、下記「愛着障害」「アダルトチルドレン」の特性を説明しました。

1 愛着の問題

「愛着とはイギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した理論です。人や動物との間に築く特別な情緒的結びつきのことです。人は生理的早産で生まれてきます。動物学で説明すると、他の哺乳類の生まれた時の状態に比べて未熟な状態で生まれてくるのです。
生まれたての赤ちゃんは目がほとんど見えず、自力で身体を動かすことができない状態で生まれてくるため、他人にお世話をしてもらわないと生きていくことができません。そのため、未熟な赤ちゃんは、無意識に自分を守ってもらうように仕向けます。こうした仕組みこそが「愛着」なのです。赤ちゃんは、身近な大人との情緒的な結び付きを持って心と体の安全を得るため、本能的に生きる知恵を駆使しています。泣く、ぐずる、手足をバタバタさせる、体をゆする、感情の起伏を露わにする…周囲の注意や関心を引き、近くに来させお世話をしてもらうためにさまざまなメッセージを送っています。これを発信行動といいます。

「愛着は、幼児期までに形成されると言われています。この時期に母性的な養育の体験が欠けていると、前述したような子どもの発信行動に大きな影響を与え、気持ちをコントロールすることや適切に表現することが難しいといった子供の情緒面の問題を抱える傾向となります。これらは、子どもの成長を遅れさせたり、体調不良を起こすことにも繋がっていきます。幼児期における養育者との愛着形成に失敗すると、過剰に相手に依存する、反対に、すべてを自分で抱え込み一切他人を信用しないなど、生涯に渡り影響することもありえるのです。

子どもの「愛着は、研究者エインズワースによって4種類の特徴に分けられています(安定型・回避型・葛藤型・無秩序型)。「愛着の形成に成功した幼児は、親子のスキンシップ(愛着行動)が繰り返されることで、他者に対して安心感・信頼感を獲得するようになります。他者(主に母親など)に対する安心感・信頼感は「愛着となり、恐怖や不安などのマイナスな感情を抱いたとき、或いは危機がない状況でも、いつでも帰る場所(安全基地)があるという安心感を持つことで、外界を自由に探索できるといった精神作用を持つようになると言われています。

このような「愛着形成が築けなかった場合、大人になってからも尾を引くようになります。愛着障害の特徴は以下の3つであると言われております。

1.情緒面

  • 傷つきやすい。
  • 怒りを感じると建設的な話し合いができない。
  • 過去に囚われがちとなり、外部に過剰反応をしてしまう。
  • 0か100かで捉えてしまう。
  • 意地っ張りな性格となる。

2.対人関係

  • 親などの養育者に対して敵意や恨みを持つ、または過度に従順になり、親の顔をうかがう。
  • 親の期待に応えられない自分をひどく責める。
  • 人とほどよい距離がとれないため、恋人や配偶者、または自身の子どもをどう愛すればいいかわからない。

3.アイデンティティが確立できない

  • キャリア選択がうまくできず時間をかけた割にわずかな見聞や情報で決めてしまう。
  • 自分の選択に対する満足度が低い。

2 アダルトチルドレン

AC:アダルトチルドレンとは、子どもの健康な心の成育や健全な人格形成に影響を与える親(機能不全家族)のもとで育ち、そこで受けた心の傷が癒されないまま大人になり、成長してもなお精神的影響を受け続ける人々のことを言います。アダルトチルドレン(Adult Children of Alcoholics)は、もともとは親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人を指します。(頭文字を取りACとも呼ばれていますが、診断用語、病名ではありません)

では、アダルトチルドレンと呼ばれる人たちは子ども時代にどのような役割を担わされてきたのでしょう。アメリカのセラピスト、クリッツバーグが1985年に出した『ACOA症候群』という本の中で、6つの役割を言い表しています。

6つの役割

1.ヒーロー(hero)

英雄、活躍「頑張り続ける」。

世間や社会など「家族の外」の他者に評価される・成果を出す子どもたちのことで、勉強・スポーツなどで良い成績や評価などを得ることを目的とします。真面目で、しっかりしている責任感の強い、頑張り屋さんと周囲から見られることがありますが、自分のためではなく、親の期待に応えるため、周りから承認されたい、評価を得たいと願い、頑張り続けてしまいます。この努力が順調に行われていればよいのですが、何らかの問題が発生し挫折を経験し、失敗を繰り返してしまうと、心が折れて破綻してしまこともあります。
2.スケープゴート(scapegoat)

犠牲、生贄、「わかりやすい原因」。

ヒーローとは反対に問題を起こすことで、自らが「家族機能が不全である原因」であると「ダメな子を演出」します。問題行動を起こしてみたり、あるいは病弱であるかのように見せたり、悪役を演じ、手を焼かせる行為を自ら買って出たりするのです。家族に迷惑をかけ、心配をさせ、苦労をさせ、手間をかけさせ、「この子さえ居なければ」という幻想を抱かせることで、本当の問題から家族が目をそらすことを援助し、真の崩壊を防ごうと無意識にしているのです。この行為は、家族の感情のゴミ箱的な役割になっています。
3.ロスト・ワン
(lost one)

孤独、迷子、「居ない子」。

大人しく、手のかからない、存在感の薄い子として、自ら家族の中での存在を消そうとします。目立たず、ひっそりと、自分はここに居ないかのようにやり過ごすし生きていこうとするため、家族と一緒に何かやろうという時に居ないことも多く、居なくなったことにも気付かれないような子です。また、自分の感情を自分で 処理する傾向が強く、家族内の人間関係から距離をおき、自分の心が傷つくことを避けようともします。
4.クラウン(clown)

ピエロ、道化師、マスコットとも。

空気が悪くなりそうになれば、おどけてふざけて空気を変えたり、おかしなことをやってみせたりする子です。たとえば親たちの言い争いなどが始まり、家族に緊張が走るような場面で、突然とんちんかんな質問をして笑わせたり、歌いだしたり、踊りだしたり、険悪なムードを変えるような子です。一見、明るくて、面白い変な子ね。と可愛がられることも多いですが、とても敏感に反応し、場の雰囲気を誰よりも早く察知し、和ませる役割を担います。道化師の仮面の下にはさびしい素顔が隠されていて、自己評価は低い子が多いです。
5.プラケーター
(placater)

励まし、慰め、「カウンセラー」。

気分が落ち込んでいる、疲れているような家族をいつも慰めている。これ以上疲れないために気遣ったりする家族の中の小さなカウンセラーの存在です。一見、無私の奉仕にも見え、「母親の愛情」に似た無条件の愛情を多くの人に向けようとします。逆に感謝や愛情を自分に向けられると戸惑うこともあります。これは「自分が相手に与え続けることが自身の存在理由だと思っているからでしょう。
6.イネイブラー
(enabler)

援助、励まし、「偽親」。

相手の世話を焼く、相手の心配をすることで自分の問題から目をそらす、逃げ回っているような子です。偽親と呼ばれ、母親に代わって、幼い弟妹や頼りにならない兄姉の面倒を見たり、ダメな父親にかわって母親のケアをしたり、愚痴の聞き役になったり、自己犠牲を払い、自身のことは、感情も含め何でも後回しにして、家族の崩壊を防ぐ役割に徹します。

上記6つの役割を担ってきた子どもたちは、大人になっても、そのときに受けた傷がトラウマにとなり、生き辛さを感じています。埋まらない空虚感は、自己肯定感の低下、対人関係、子育て、依存、嗜癖(アディクション)等・・いろいろなカタチとして姿を変えて表面化されます。そこに原因があったことすら、本人が気づかないこともあります。


引用・参考文献
・https://papimami.jp(2019年2月20日)「大人になっても治らない⁉子どもが、“愛着障害”を発症する原因とケア方法
・https://m.newspicks.com>news(2019年2月20日)「愛着障害とは?愛着障害の症状・治療方法・愛着を築く方法をご紹介します!」

澁井展子(2017)乳児期の親と子の絆をめぐって 株式会社彩流社
秋月菜央 (2016) アダルト・チルドレン生きづらさを抱えたあなたへ
株式会社二見レインボー文庫
米沢好史 (2018) やさしくわかる愛着障害 ほんの森出版株式会社
根ケ山光一 (2002) 発達行動学の視座<個>の自立発達の人間科学的探究
株式会社金子書房